事業横断の“迅速な経営判断”を可能にする。扶桑社がデータの一元管理と自動集計化の実現で、属人的業務を大幅削減。

株式会社扶桑社様

フジ・メディア・ホールディングスグループの総合出版社として、『ESSE』や『週刊SPA!』など、時代を映す数々のヒット媒体を発行する株式会社扶桑社。
同社は長年、強力なコンテンツ力を武器に出版業界を牽引してきたが、紙媒体の市場縮小やデジタル化の急速な進展といった外部環境の変化により、紙媒体中心の事業構造では持続的な成長が描けないという課題が顕在化していた。そこで近年は、webメディアの強化やIPビジネスの拡大など、従来の「出版」の枠を超えた次世代のメディア企業への変革を推進している。
一方で、変革を支える経営管理の現場で直面したのは、複数の事業・部門ごとの複雑な収支管理だった。限られた人員体制の中で、膨大なデータの集計作業に追われるだけでなく、業務プロセスは特定の担当者のノウハウに依存した属人的な状態が続いていた。その結果、工数が逼迫し、本来注力すべき事業ごとの収益性分析や戦略立案に十分な時間を割けないという課題が浮き彫りになっていた。こうした状況を打開し、データに基づく迅速な意思決定を実現するため、同社は経営管理ツールの導入に踏み切った。
なぜkpieeを選び、どのようにして業務負荷の大幅削減と、属人化の解消を実現したのか。
今回は、コーポレート戦略局 経営管理部の遠藤様にお話を伺った。

導入の背景

正しい経営判断には、集計作業のブラックボックス化を解消し、
正しい数値が把握できる環境構築が急務だった。

― kpieeを導入される前に発生していた課題を教えてください

遠藤様:導入前に感じていた課題は、大きく2つあります。

1つ目は、経営管理データが複数のシステムにまたがって管理されているため、月次更新に工数がかかっていた点です。

弊社は、雑誌・書籍・webメディアなど複数の事業を展開しており、各事業・各部門のデータがそれぞれ別のシステム上で管理されているため、データの収集 / 突合 / 集計に膨大な工数が発生していました。

2つ目は、担当者ごとに集計ロジックが異なり、数値を正しく比較できない状況になっていた点です。

具体的には、月次の集計作業において、参照元データや集計ルールが明文化されておらず、「どこに、どのデータがあるのか」「どのルールで計算すべきか」を把握しているのは特定の担当者のみ、という属人的な状況が続いていました。

さらに、データの管理方法や集計ロジック自体も担当者ごとに異なっていたため、数値の整合性確認にも多くの工数が発生していました。

例えば、PL作成・更新にあたっては、複数のファイルを加工・突合する必要があり、科目別の売上を確認するだけでも相応の時間を要していました。こうした月次更新だけで、20時間程度の工数が、特に月初5営業日に集中しており、業務負荷の大きさが課題となっていました。

こうした状況を踏まえ、業務の属人化を排除し、工数をかけずに、常に正しい数値を安定して把握できる環境を構築したいと考えるようになりました。本来は、月次業務に追われるのではなく、データに基づいた戦略的な意思決定にこそ時間を割くべきです。

そのため、複数のデータを一元的に集約し、集計作業を自動化できるツールが必要だと考え、経営管理ツールの導入検討を本格的に進めることにしました。

― 数ある経営管理ツールの中から、kpieeを選ばれた理由は?

遠藤様:kpieeを選んだ理由は、大きく2つあります。

1つ目は、ばらばらに存在している経営管理データを一元管理できる点です。kpiee導入前は、複数事業・複数部門ごとに、原価データや在庫データ、売上データなどがそれぞれ別のシステム上で管理されており、都度、CSVファイルを出力し、担当者が手作業で統合していました。

kpieeであれば、各システムに分散して管理されているデータを一元的に集約できるため、これまで手作業で行っていた統合作業の工数を大きく削減できると感じました。

2つ目は、複雑な集計ロジックを自動化し、常に正しい数値を確認できる点です。

導入前は、集計作業が属人化しており、数値の整合性確認にも多くの工数がかかっていました。kpieeであれば、Excelや基幹システムなどに散在しているデータを統合したうえで、弊社独自の複雑な集計ルールを自動化することができ、いつでも正しい数値を確認することができると感じました。

集計ロジックのブラックボックス化を解消し、工数を削減しながら、正しい数値を継続的に可視化・比較できる点を評価し、kpieeの導入を決定しました。

導入の効果

“属人化の大幅排除”を可能にし、
月次決算データの統合から可視化まで実現。

― 現在、kpieeの活用により実現できたことを教えていただけますか?

遠藤様:kpieeを導入したことで、複数事業・複数部署にまたがる数値管理を一元管理、自動化できるようになり、月次で発生していた工数を大幅に削減することができました。

導入前は、売上データや返品データの集計において、複数フォルダに分散したCSVファイルを担当者が毎月手作業で統合していました。また、部門別・媒体別の資料作成についても、前任者が作成したExcel関数を暗黙知のまま引き継いでいる状態でした。例えば月次決算では、PL/BS/CFの作成・更新にあたり、元帳・補助元帳のデータを都度出力し、複数のExcelファイルへ転記したうえで、科目別の再集計や所定フォーマットへの修正をすべて手作業で行っていました。結果、複数のファイルにわたる転記・加工・突合作業が発生していました。

さらに、各指標の集計に必要なデータの参照元や計算ロジックが明文化されておらず、担当者に属人的に紐づいていたため、異動や引継ぎが発生した際には、引継ぎ完了までに数ヶ月を要することもありました。

導入後は、特にPL/BS/CFの作成や更新業務をkpieeのサポート担当にアウトソーシングし、集計ロジックをkpiee上で実装することで自動化を実現しました。

これにより、これまで発生していた手作業の工数を削減でき、結果として、月次で発生していた属人的な業務を大幅に削減することができました。

また、売上・客単価・客層比率・累計購入回数などの指標を、様々な切り口で可視化することができるようになりました。kpieeでは、インプットとなるデータをアップロードするだけで、連携後の加工・統合が自動で行われるため、集計作業にかかっていた工数は実質ゼロとなりました。

その結果、集計結果をリアルタイムで確認できるようになっただけでなく、削減できた時間を分析や戦略検討に充てることができ、経営層や現場との情報共有もスムーズになりました。

遠藤様:加えて、毎月の提出物における数値のずれが解消され、数値精度が安定したことも大きな成果だと感じています。

導入前は、すべて手作業で集計していたため、集計後に都度、数値の整合性確認を行う必要があり、多くの時間を要していました。

特に書籍売上については返品処理を考慮した算出が必要であり、事業別売上・広告収入・雑収入など、収益構造の異なる売上区分ごとに適切な集計ロジックを適用する必要がありました。これらを手作業で行っていたため、作成した数値と会計システム上の試算表の合計が一致しているかを確認する工数が毎回発生していました。複数種類のレポートについて毎月整合性を確認する必要があり、確認作業だけでも膨大な時間がかかっている状態でした。

この状況では、経営陣が必要とするタイミングで正確な部門別売上データを提供することが難しく、経営判断のスピードにも影響していました。

kpieeを導入したことで、こうした複雑な集計作業を自動化することができました。取次データ、事業収入、広告収入、雑収入など、異なるシステムで管理されていたデータをkpiee上に一元的に集約し、自動で部門別に分類・集計する仕組みを構築したことで、整合性確認にかかっていた工数を50%削減することができました。

常に正しい数値が自動算出されるようになったことで、会計システムとの突合確認が不要になり、経営管理部としても、安心して月次報告業務を進められる環境が整いました。

さらに、数値集計後にPowerPointへ転記し、レイアウトを調整する作業が発生していましたが、kpiee導入後は、サポート担当の方に月次決算資料用のテンプレートを提供いただいたことで、資料作成業務も効率化されました。

毎月、資料作成だけで5~8時間かかっていた資料作成作業は、現在では1時間程度まで削減できています。

〈 部門別売上 〉
‐部門別に事業、媒体ごとの「予算」「実績」「差分」を可視化。
‐事業間の状況を比較しながら、精度の高い経営判断を実現。

〈 販管費・原価 〉
‐年月別に「予算」「実績」を可視化。
‐実績と併せて予算比、昨対比を可視化することで、前年推移との比較を踏まえた施策立案に活用。

今後の展望

事業・部門ごとの収益構造を明らかにし、
“全体最適”に向けた意思決定を加速させたい。

― 今後、どのようにkpieeの活用を広げていきたいですか?

遠藤様:今後は、より一元管理・自動集計できるデータの範囲を拡大し、POSデータの自動集計を含め、弊社特有の分類軸もkpiee上で可視化していきたいと考えています。

現在は、全社単位でのPLや大枠の勘定科目別での予実管理といった軸での可視化が中心ですが、今後は、雑誌/書籍、倉敷料、部門管理といった分類軸についてもkpiee上で可視化していく予定です。これにより、在庫の適正化や、編集部門ごとの収益性に基づいたリソースの配分の判断など、より踏み込んだ経営判断に活用していきたいと考えています。

また、現在構築できている基盤をベースに、さらに多くのデータをkpieeに集約し、リアルタイムで経営状況を把握できる体制を強化していきたいと考えています。

例えば、現時点では連携できていない日次の書店実売データやタイトルごとの広告宣伝費データ、電子書籍の売上データなどもkpiee上に連携し、「リアルタイムでの実売消化率」や「作品別の広告費用対効果」といった指標を可視化することで、より細かな分析を行い、事業を横断した経営戦略の高度化につなげていきたいと考えています。

― kpieeをご検討されている企業様にメッセージをお願いします!

遠藤様:データ集計に時間がかかっている企業や、データの集計業務が属人的になっている企業には、ぜひkpieeをおすすめしたいと感じています。

特に、複数の事業や部署を抱え、月次の数値管理に多くの工数を割いている企業であれば、kpieeの導入によって業務効率は大幅に改善されると思います。

属人化を解消し、正確で安定した数値管理体制を構築したい企業にとって、非常に有効なツールだと感じています。